字幕なしで映画、ドラマを観る(映画の中の英会話)

海外ドラマや映画を字幕なしで観る
英検、TOEICなどの高得点獲得者は字幕なしでも理解できるのか?

残念ながら、高得点を取れる=字幕なしで理解できるとは必ずしも言えません。高得点者は比較的リスニングの点数も高いはずですが、ドラマや映画にはさまざまなシチュエーション(状況)があり、登場人物のキャラクターもさまざまです。

恋愛ものや子ども向けのものは比較的ストーリーも単純なのでわかりやすいはずです。一方で、法廷ものや医療もの、サスペンスものなどは内容も難しく複雑になり、専門用語も出てきます。緊迫した場面も多いため、展開が早く、難易度は高くなります。登場人物のキャラクターによっても、ぼそぼそ喋ったり、非常に早口だったりと、聞きやすく喋る人ばかりではありません。

さらに作品そのものやエピソードがオマージュ(賛辞)的なものであれば、その背景を理解していないとわからなかったり、その国の文化やスラング(俗語)等も知っている必要があります。

学校で習った英語だけではわからないネイティブの会話

(映画)パルプ・フィクション

pulp-fiction

ビンセント(ジョン・トラボルタ)と相棒ジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)の車中での会話。アムステルダムに長くいたビンセントが、アムステルダムの良さをとうとうと語る。

ジュールス:Oh man, I'm goin' that's all there is to it, I'm fuckin' goin'
      (まじかよ!そりゃもう行くしかねえ)
ビンセント:You'll dig it the most.
      (最高に気に入るだろうよ)

*dig it : 「気に入る」「はまる」「好む」など
【引用:「パルプ・フィクション」(原題:Pulp Fiction)より】

(映画)ゴースト/ニューヨークの幻

Ghost

恋人同士のモリー(デミ・ムーア)とサム(パトリック・スウェイジ)の会話。

モリー:I love you. I really love you.
   (愛してる。ほんとに愛してるわ)
サム :Ditto...
   (僕もだよ【同じく】)

*Ditto:日本語で言えば「同上」「右に同じ」。me tooでも同じような意味だが、特に前の文章や言葉などをそっくりそのまま返すことを意味する。 【引用:「ゴースト/ニューヨークの幻」(原題:Ghost)より】

(映画)ソーシャル・ネットワーク

social network

Facebook創設者マーク・ザッカーバーグの半生がモデル。エリカ(ルー二ー・マーラ)と付き合うマーク(ジェシー・アイゼンバーグ)だったが、エリカの気持ちがだんだん離れ始め、別れを告げられてしまうときの会話。

マーク : Come on, you don't have to study, you don't have to study, let's just talk.
    (ねえ、そんな勉強なんてしなくていいじゃん。話をしようよ。)
エリカ : I can't.
    (無理よ)
マーク : Why?
    (どうして?)
エリカ : Because it is exhausting! Dating you is like dating a StairMaster!
    (だって疲れるの。あなたとデートするのってステアマスターと デートしてるみたいなんだもの)

*Stairmaster:ずばり商品名。階段のようなステップを踏んでカロリーを消費するジムなどにあるマシン。日常会話では商品名やタイトルなどがそのまま一般的に比喩として使われることがよくある。
【引用:「ソーシャル・ネットワーク」(原題:The Social Network)より】

(映画)パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち

Pirates

幽閉されていたブラックパール号船長で一匹狼の海賊のジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は、エリザベス(キーラ・ナイトレイ)を人質に逃げようとする。

エリザベス:You're despicable!
      (卑怯な人ね)
ジャック :Sticks and stones, love. I saved your life, you saved mine. We're square.
      (何とでも言えばいいさ【何て言われても平気だ】、お嬢さん。(お互いが相手の命を救った)お互い命びろいしたんだ。これでおあいこだろ)

*Sticks and stones= (Sticks and stones may break my bones, but words will never hurt me.)
「棒や石では骨を折るかもしれないが、言葉では少しも傷つかない」ということわざから。他人に嫌味な言葉を言われてもいちいち傷つかない、という意味。 最近ではあまり使われないが子どもがよく使う。大人も冗談ぽく使ったりすることも。
*Square=equalの意味
【引用:「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(原題:PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL)より】


海外ドラマや映画を字幕なしで理解できるようになるためには・・・

1)ひとつの作品を何度も繰り返し観る
ハードルは高く時間はかかるものとは言え、ノンネイティブが字幕なしで理解できるようになるのが不可能ということではありません。まずは、字幕なしでドラマや映画を観ることに慣れることです。字幕があると無意識に字幕に頼ってしまうので、難しいようなら英語字幕を表示しましょう。慣れないと、英語字幕に追いつくだけでも難しいはずですから、さらに忍耐力がある人には英語字幕で確認してから再度字幕なしで同じ場面を観てみることもオススメします。

最近では、クローズドキャプション(字幕表示)を表示できる機能が付いているテレビもあり、場合によっては英語のクローズドキャプションを表示できます。またDVDならたいてい字幕表示を選ぶことができます。メジャーな映画などは、本屋さんで日本語対訳つきのスクリプト(映画・放送の台本)が販売されていたり、インターネットで拾うことができるものもあります。

最初からいろいろなドラマや映画を観ようとするよりも、1つの作品をじっくり何度も観る方が効果的です。さらに始めから1つの作品を通して観るよりも、場面や時間をある程度区切って繰り返し観るほうが理解しやすいはずです。あらかじめストーリーを理解した上で、あるいはある程度作品が理解できてから始めから通して観ると、より理解できるようになるはずです。

例)
  ・スクリプトを買ったり、ネットで調べるなどして作品のストーリーを読む
  ・内容がひと通り頭に入ったら作品を場面に区切って観る
   (10分ごと・会話ごと・シーンごとなど)
  ・1回目は英語字幕で、ある程度慣れたら字幕なしで観る
  ・選んだ部分がわかるようになるまで何度でも観る
  ・作品の最後まで同じことを繰り返す

何度も繰り返し観ることで、1つ1つ作品をこなしていくごとに自分の中に知識として蓄積され、別の作品で同じ表現が出てきたときにまた定着していきます。すでに知っている単語やフレーズであっても、実際の会話では自分の認識通りに聞こえないこともあるので、そういった意味でも慣れることに意味があります。

参考
  http://www.closed-caption.com/
  https://jp.fotolia.com/id/116761328

2)カルチャーや背景を知る
作品によっては黒人文化が背景になっているなど、歴史的なことやその国の文化を知ることも重要です。以前に奴隷制度があったアメリカでは現在でも黒人差別はなくなったわけではなく、貧困層に黒人の割合が多いのも事実です。かつては公共の場では黒人と白人は分けられ、交通機関でさえも別々の時代もありました。黒人だけではなく、さまざまな人種がいるアメリカでは文化そのものがそれぞれの歴史でもありますが、その中でも黒人文化はアメリカの歴史そのものとも言えます。

貧困率が高い、教育の質の低下、職業の選択肢が少ない、就職率の低さ、犯罪率が高い、治安が悪いなどさまざまな要素があります。さらに父親が犯罪者となって不在になると、モデルとなる男親のいない子どもたちがまた最終的に犯罪に手を染めてしまうといった悪循環が起こったり、貧困から抜け出せない人たちもたくさんいます。

そんな劣悪な状況の中で、黒人同士の深い絆から生まれていったのがラップであり、ブラックミュージックであり、ゴスペルです。

例)黒人文化が垣間見られる作品

(映画)Boyz n the Hood(ボーイズ’ン・ザ・フッド)

Boyz n the Hood

 当時は犯罪多発地区として有名だったLAのサウスセントラル地区が舞台。
 いわゆるゲットーエリアで暮らす典型的な家族構成の黒人家族の話。

(映画)Keanu(キアヌ)

Keanu

 子猫を助けるために成り行きでギャングのふりをして麻薬取引をする羽目になった黒人2人のコメディー。この作品で2人はギャングのふりをするため、しゃべり方をいわゆる黒人英語にし、Niggerを連発している。(ただし、この言葉は差別用語で黒人同士が敬意を表して使う場合のみ使用する。基本的に他の人種が使えば差別になる。)

例)黒人差別・偏見などが背景にある作品

(映画)Philadelphia(フィラデルフィア)

Philadelphia

トムハンクス演じる、一流法律事務所に務めていた主人公は、不当解雇を闘うため裁判を起こす。HIVであることを告げると次々と弁護士たちに断れらるが、後に一緒に闘うことになる黒人弁護士ジョーと最初に握手をした際、反射的にその手を拭ってしまう。

(映画)Dear White People(ディア・ホワイト・ピープル)

Dear White People

名門大学ウィンチェスター(架空)は「人種差別はない」と主張。人種問題論争が起こり、黒人学生と白人学生の間での対立が激化していくも、人種差別をめぐる青春コメディー。この中で白人の総長が黒人の副総長に対して「もう人種差別なんてものはない。残っているとしてもせいぜいメキシコ系の差別だけだ」というシーンがある。

それ以外にも、今流行っている旬なできごとや著名人の名前が出したり、他の作品を引き合いに出すという場合もあります。

(映画)Back to The Future 2(バック・トゥー・ザ・フューチャー2)

Back to the Future 2

デロリアンというタイムマシーンで過去や未来へ行ったり来たりする作品。この2に出てくる過去のスポーツ年鑑を悪用して大金持ちになるビフは、ドナルド・トランプがモデルになっていて、ビフのカジノハウスがアトランティックシティーにあるトランプ・プラザホテルに激似であるというのは有名な話。

(映画)Hot Shots!(ホット・ショット)

Hot Shots!

チャーリー・シーン主演のコメディ。大物俳優も多数出演しており、「トップガン」、「ロッキー」、「愛と青春の旅立ち」など、様々な作品のパロディーシーンもあり、作品を知っていればすぐにわかる。

また日常的にスラングが出てくることもよくあります。

例)
・「buck」dollarのスラングでの言い方 → 10 dollars = 10 bucks
・「crash」 → I’m going to crash (特にいつもと違うところで)寝る
・「hit me up」 → 連絡して!
・「swing by」 → 立ち寄る・寄り道をする
・「yummy」おいしい/「tummy」(お腹のこと)
(通常小さい子や小さい子供に対して使うが、大人がおどけて使うこともある。)

このように学校では習わない表現や単語の使い方をしたりすることもあるのです。作品中に出てきたことを覚えることも手ですが、自分でも勉強してみてください。

参考: ネイティブスピーカー「ルーク」のブログ「Eigo with Luke」

http://www.eigowithluke.com/culture/
https://jp.fotolia.com/id/31258129


3)日常会話が多い作品を観る
作品によっても難度は変わってきます。前述したような法廷ものや医療ものなどは専門用語も多く、緊迫した場面などではさらに難易度が上がります。そういった意味では、比較的恋愛ものやファミリー向け、子供向けの作品がおすすめです。日常会話が多い作品であれば、聞き慣れた単語も多く出てくるはずですし、実際の会話にも応用できます。

アメリカなどではアニメは子どものためのものなので、内容も優しく、英語を学ぶ初心者には個人的にオススメです。アニメーションは声優が比較的セリフをはっきりとしゃべるので、入りやすいとも言えます。恋愛ものが好きな女性も多いはずですから、女性には恋愛ものもオススメです。子ども向けや恋愛映画は特に初心者には入りやすいジャンルですが、それだけではトピックに偏りが出てきてしまいます。ビジネス英語を勉強したい、さらにもっと上達したい場合は、ビジネスよりの映画や、その他のジャンルにも挑戦してください。

 3-1)子ども向け・家族向け映画
(映画)アイスエイジ

iceage

(映画)トイ・ストーリー

ToyStory

(映画)モンスターズ・インク

MONSTERS_INC

(映画)ホーム・アローン

HomeAlone


 3-2)恋愛映画
(映画)ウエディング・シンガー

WeddingSinger

(映画)魔法にかけられて

Enchanted

(映画)キューティー・ブロンド

LegallyBlonde


 3-3)ビジネス英語やビジネスが学べる映画
(映画)トゥー・ウィークス・ノーティス

TwoWeeksNotice

(映画)ソーシャル・ネット・ワーク

 3-4)スラングが学べる映画
(映画)テッド

Ted

(映画)クルーレス

Clueless



4)古い作品を観る
最近の作品はセリフも多く、展開も早い傾向にあります。昔の作品は、比較的ゆっくりなセリフで展開がめまぐるしく変わるということも少ないので、初心者向けとも言えます。「サウンド・オブ・ミュージック」、「オズの魔法使い」といった昔の名作と言われる作品を観るのもいい方法です。ただし日本語同様に英語にも流行りすたりがあり、言葉も変わっていきます。最近の言葉を覚えたければ、新しい作品や若い世代の映画を観てください。また、ネットの進歩で、ネット上で使われる言葉や略語も最近は増えています。

 むかしの名作
(映画)オズの魔法使い

Oz

(映画)サウンド・オブ・ミュージック

Sound of Music

(映画)ローマの休日

RomanHoliday


5)言葉の移り変わり
例)最近英語でもそのまま使われる日本語
□ かわいい ― Kawaii
□ うまみ  ― Umami
□ 絵文字  ― Emoji
□ 居酒屋  ― Izakaya
□ マンガ  ― Manga/Comic

例)最近使われる新しい使い方
□ Google ― Google it. 「グーグルで調べてみて」→ 元々は名詞だったものが動詞として使われるようになった
□ Facebook/Line ― I’ll line/facebook you 「ライン/フェイスブックで連絡する」→ 元々は名詞だったものが動詞として使われるようになった
□ Selfie ― 自撮り → 正式にはself portrait

例)ネット用語・略語(ツイッターのハッシュタグなどにも)
□ LOL ―     Laugh of loud 大笑い。日本のwwwのようなもの
□ IC/4U/THX ― I see/for you/Thanks (チャットなどは特になるべく時間と文字数がかからない書き方、略語を使うことが多い)
□ 24/ 7 ―   24時間・週7日(つまり24時間365日という意味)

参考:映画作品の中のセリフ「名言&名セリフまとめ」
https://www.eigadeeigo.com/525.html

6)ある程度慣れて、さらに上達したい人には・・・

ある程度作品を観ることに慣れてリスニング力が上がってきたら、自分でディクテーションやシャドーイングに挑戦してみてください。

ディクテーションとは、耳で聞いた英語をそのまま書き写すこと。スペルも知らなければ書けないため難易度は高くなりますが、実際に書き、目でも見ることで定着度は上がります。
シャドーイングとは、耳で聞いた英語をそのまま真似て即座に復唱することです。子どもが耳で聞いて英語を覚えるように、実際に聞こえた音声を真似することでフレーズや単語の発音の仕方が覚えられます。

ただし、英語には日本語にない発音がかなりあるため、日本人がそれらを発音するためには普段使わない口の筋肉を使う、と言われています。ある程度、何度も繰り返し口に出して慣れる必要があります。ここでは「口に出して実際に発音する」ことが重要です。頭の中で発音したつもりになっているのは全く違う、ということを心に止めておいてください。

さらに自分ではしっかりと発音しているつもりでも実際にはできていないことは多々あります。自分の話した英語を録音して聞いてみて、何度も繰り返し同じフレーズを発音練習してみてください。

作品中では会話はどんどんと流れていくので、特に最初はある程度場面や長さを決めて、その場面をやってみてください。実際にやってみると、かなり難しく感じると思います。1作品を全部やることができたら、かなりの上達が望めるはずです。

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語学のマスターには、「これだけをやればできるようになる」といった方法は残念ながらありません。上達度も個人によって変わってきます。言葉は時代によっても変わっていくので、常にブラッシュアップすることも必要です。根気強く、少しずつでも継続していきましょう。続けていく上で、ある日「前よりも聞き取れているのではないか?」という感覚に気づく日が来るはずです。




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